真逆の存在の可能性について常に考えたいというはなし

金井美恵子の本の積読が増えるのだけはなんとなくよくないなと感じる、金井美恵子は読まないと読めなくなる気がする、し、でも読み始めたら恍惚としてしまうことはわかっているのでいつでも読めるのではないかと思う気持ちもあって、今じゃないと読めないと感じるものを先に読まなきゃと考えているうちに金井美恵子から遠ざかってしまう。でも今度買った短編集がとてもおもしろそうだから今読んでいるものが終わったらすぐ読み始めたい。

 

人がそれぞれ違うことはみんなわかっていると思うのだけれど、でもやっぱり無意識というものはあって、だからわたしは何に関しても自分と同じだと決めつけてはいけないと考えるようにしたい。真逆の存在を常に考えていたい、思いつくようにしていたい、絶対に常にそうしていたい(ところで絶対という言葉は絶対なんて絶対ないという使い方をするときにだけ信じられる言葉)。でもそれはむずかしいし不可能に近いので、またやってしまったと気がつくたびにほんとうにいやな気持ちになる。違うことをそのまま受け入れるより違うことに気がつく方がよっぽどむずかしいと思う。

 

私も一個のものを何か主張するときに、全く逆の可能性を同じだけ持っていたいと思うところがありまして、何かを正しいと言うときは、それは正しくないということも同じだけ持っていたい。

___文藝別冊 川上未映子

すぐ引用するのはちょっとずるいね。この人がこう言っているので私は正しいのです、と主張しているようで厭らしい感じがする