2021.8.29-1

そんな中で、少女がいない時、少女を仲間はずれにして野原に行った女の子たちが長い長い花輪を作っていた時、そこで爆発。炸裂する大きな爆発音と、多分、叫び声、悲鳴、肉や血や土くれやレンゲや不発弾のカケラが、赤と黄色の畑の空高く、飛行機雲の白い直線を刷いた青空に、白や桃色の肉片と血と、レンゲ草の赤紫と緑と土をこきまぜた五彩の破片が飛び散って、レンゲの花の間に落ちこむ。女の子たちの小さな指や耳や、腕や脚、柘榴のように二つ割になって赤い肉を晒している頭部、夢を見たり、つい一瞬間前に、見知らぬ異物をいぶかしんでいた頭部。バラバラになった体の部分の肉切れがボタボタと血と一緒にレンゲの花の間に降りしきる。その後のお葬式。

___金井美恵子「自然の子供」

 

母を怒らせた。いつかバチが当たるということばを、そのまま返した。20年しか生きていないやつに言われたくない、とわざわざリビングから出て行くわたしのあとをついてきていうので、階段の上から、子供を育てられないくせに産むなと叫んだ。ここまで育ててきただろ、と返ってくる。小さいころから何度も死ねと言って育ててきたくせに。幼い頃から今までずっと燻らせてきた感情をついにぶつけたのに、母は、わたしに死ねと言った自覚がなかった。無意識に死ねと言っていたの? こわすぎるよ。『ずっとお城で暮らしてる』で、わたしの気に入ったことばは、いつも母に向いている。