手紙

結局留学でいちばんなにが大変だったのかと聞かれたらどう考えても職場で喋らない人間として孤立してしまったことで、それでもがんばって話しかけることを続けたことがいまのわたしにつながっていると思っている(いま思い出しても苦しい気持ちになりますねえ)。留学から日本に戻って、半年間お休みもらっていたアルバイト先に戻って、お店側の変化もたくさんあったのだろうけれど、働きやすくなったのはきっとわたし自身が変われたからではないかと思っていて、それについて自信はなかったのだけれど、学生で一番上の先輩が最後のシフトの日にくれた手紙に「ハキハキして、自信のついたように見える」と最後の最後に書き加えていてくれて、それがほんとうにほんとうにうれしくて、そのきもちを思い出すために手紙をしまった箱を開く。なかの手紙は時系列には並んでいなくて、手前にあるのは何度も読んだもの、手紙は親密なもののように思えるけれどどれだけ書かれたことばでやりとりをしてもだから現実で近づけるかというと全然はそんなことはなくて、羨望とか、憧憬とか、愉しさ、掴みどころのなさとか、何度も思い出して胸焼けがするのだけれど何度も読みかえす。胸焼け。読みかえす