『カミーユ』/『リヴァーサイド』
きのう夜眠れなかったので歌集を読んでいたら余計に目が覚めてしまったよ
あしあとにつきのひかりがしみてくるここをすぎればわたしのきしべ
犬の死骸に肉と土とが崩れあう夏。いつまでも眼だけが濡れて
追うというより追いつめてしまうから琵琶湖に赤い月がのぼるよ
一度見たものはそののち何度でも見るよ まぶたに柊の影
___大森静佳『カミーユ』
赤く燃えるイメージの『カミーユ』に比べて飯田彩乃『リヴァーサイド』は水のモチーフが多くて好きだった。対照的なふたつ
ベランダといふ水際に佇んできみがあがつて来るまでを待つ
死に顔がやけに綺麗で水のなか見るやうにして幾度ものぞく
みづうみに沈む瞳を覗き込みこれでいいかと確かめてゐる
社会人になったら読み返すのだと思う
デスクトップ背景を窓辺に変へて波打ちぎはにファイルを置けり
そこだけが雪原の雪 プロジェクタの前にあかるく埃は舞つて
舌先に冷えびえとしてOFFICEとふ綴りのなかの溶けない氷(ICE)
コピーした紙がひつそり息絶えるまでのぬくみを腕に抱きとる
後半は子どもを慈しむような歌が多くて距離を置きたくなっちゃった。服部真理子のときも家族のことを詠んだ歌は素直に読めなかった記憶がある
旅行から帰ってきてからずっとスープカレーのことを考えてる。どれもほんとうにおいしかったなあ 11月12月はまたおとなしく本でも読んでいようねえ